私たちが目にする星や銀河は、宇宙全体のほんの一部にすぎません。
観測できる物質は約5%。残りの大半は「暗黒物質」と「暗黒エネルギー」に占められています。
特に暗黒物質は正体が不明のままです。
ALTERIAは、見えない物質を追う最新の観測と理論を紹介します。
目次
暗黒物質とは何か

暗黒物質は光を放たず、電磁波とも相互作用しません。
そのため直接観測できません。
しかし銀河の回転速度や重力レンズ効果を分析すると、通常の物質だけでは説明できない重力が働いていることがわかります。
つまり、暗黒物質は「存在が必要とされる物質」でありながら、その姿は一切見えないという逆説的な存在なのです。
観測の手がかり
現在、暗黒物質を探す方法は大きく三つあります。
まずは地下実験施設での直接検出。粒子が原子核にわずかに衝突するかを調べます。
次に大型加速器を使い、暗黒物質を人工的に生み出そうとする試み。
さらに宇宙望遠鏡による間接観測です。
どの方法も決定的な証拠は得られていませんが、観測技術の進歩により候補は徐々に絞られつつあるのです。

有力な仮説たち
暗黒物質の正体として有力視されるのは「WIMP(弱く相互作用する質量粒子)」や「アクシオン」です。
いずれも通常の粒子とは異なる性質を持ち、ビッグバン後に大量に生成されたと考えられています。
一方で、「重力理論そのものを修正すべきだ」という学説もあります。
つまり、暗黒物質は存在せず、私たちの物理法則の理解が不完全なのかもしれません。
見えない95%が示す未来

宇宙の95%を占める暗黒成分。
その正体を解き明かすことは、物理学と宇宙論に大革命をもたらします。
もし発見されれば、エネルギー利用や宇宙の運命理解にもつながるでしょう。
それでは――
私たちはいつ、その「影の正体」をつかむことができるのでしょうか。
コメント