広大な宇宙には、私たち以外にも生命体がいるはず。なのに、なぜ私たちはまだ「彼ら」からのコンタクトを一度も受けていないのでしょうか?
天文学者たちは長年この謎に取り組んできました。銀河系だけでも2000億個以上の星があり、その多くに地球のような惑星が存在すると言われている今、知的生命体が「全く存在しない」と考えるのは現実的ではないように思えます。
このパラドックスに対し、ALTERIA(オルテリア)は独自の視点からアプローチを試みます。科学、文明進化論、そして近年注目されるシミュレーション仮説、さらには人類自身の「限界」という視点を交差させながら、なぜ宇宙人は沈黙しているのか、その理由を深く掘り下げていきます。
フェルミの問い:「彼らはどこにいるのか?」
「もし地球外知性体が存在するなら、なぜ彼らは私たちにコンタクトしてこないのか?」──この問いは、1950年代に物理学者エンリコ・フェルミによって提唱されました。
以来、「フェルミのパラドックス」と呼ばれるこの問題は、宇宙生命探査の中心課題として語り継がれています。
SETI(地球外知的生命探査)プロジェクトは数十年にわたり、電波による「呼びかけ」と「受信」を試みてきました。しかし、現在までに意味のある信号は一切観測されていません。
なぜ彼らは応答してこないのか──あるいは、そもそも信号を「送っていない」のでしょうか?
沈黙の理由①:知性文明は自滅の運命にある?
ある仮説では、知的生命体がテクノロジーを発達させる過程で、自らを滅ぼしてしまうと考えられています。
核戦争、気候変動、AIによる制御崩壊など、進化の終着点に「自己崩壊」が待ち受けているのだとすれば、通信できるほど高度な文明が「時間的に存在していない」可能性があります。
つまり、文明が誕生し、通信技術を持つまでに達したとしても、もしその寿命が数百年以内であるなら、私たちと「すれ違うことすらできない」のです。
沈黙の理由②:私たちには「理解できない」コミュニケーション?

もし宇宙人が沈黙しているのではなく、私たちが「受信できない」のだとしたらどうでしょう?
人類が使用する電磁波帯の通信は、果たして「普遍的」なのでしょうか。もし彼らが光子や重力波、あるいは私たちにはまだ未知の「意識的言語」などで通信しているならば、私たちは最初から「見えていない」だけかもしれません。
さらには、「宇宙という現象そのものが知性を含んでおり、情報伝達を空間構造で行っている」という仮説すらあります。この場合、人類の科学では「言語が根本的に異なる」という状況になります。
沈黙の理由③:文明レベルの「宇宙的格差」?
アリが人間の都市を「観測」できないように、私たちもまた、遥かに進化した文明の存在を認識できていないのではないか──。
地球外知性体が「第五次元」の存在や、物質を超えた形態を持っていた場合、彼らにとって「コンタクト」という概念自体が意味をなさない可能性があります。
また、地球を「観測実験中の隔離環境」と見なしている場合、彼らは「意図的に沈黙している」のかもしれません。
沈黙の理由④:シミュレーション仮説──もし宇宙が「計算世界」だとしたら?
近年、注目を集めているのが「シミュレーション仮説」です。私たちの宇宙は、実は何者かによって構築されたプログラムの世界であり、地球外知性体もまた「設定されていない」ために現れない、という仮説です。
この世界が「観測されるまで存在しない」という量子力学の原理と合致する点も多く、科学者たちの一部は「沈黙」がこの世界の「仕様である可能性」を排除していません。
もしこれが事実なら、私たちは「誰かのシステム内で、あえて孤立させられている」ことになります。
人類が「語りかける」べき相手とは?

宇宙が沈黙しているのではない。私たちが、まだその「意味」を読み取る準備ができていないだけなのかもしれません。
意識、観測、時空、量子、共振──地球外知性体とコンタクトする鍵は、「科学」ではなく「意識そのもの」にあるのではないかとする研究も存在します。
彼らはすでに「接触」しているが、それが「交信」として理解されていない可能性。あるいは、夢、直感、集合無意識などを通じて「語りかけている」のだとしたら?
沈黙の向こうにある「意図」とは?

人類が今、問い直すべきは「宇宙人はどこか?」ではありません。それはむしろ、「なぜ私たちは『まだ知らされていない』のか」という問いです。
沈黙は、拒絶ではない。それは、意図された沈黙なのかもしれません。
「彼ら」が何者であるかを知る前に、私たちはまず、「自分たちが何者であるのか」を知る必要があるのです。