中世ヨーロッパに突如現れた謎の写本「ボイニッチ手稿」。
奇怪な植物の図、意味不明の文字列、天文学的な挿絵。
500年以上が経った今も、誰が何のために書いたのかは解明されていません。
ALTERIAは、世界で最も有名な未解読書物の正体を追います。
目次
発見と写本の特徴

ボイニッチ手稿は1912年、古書商ウィルフリッド・ボイニッチによって発見されました。
羊皮紙に描かれた文字は、既知の言語や文字体系とは一致しません。
さらに、植物図は実在の種と似ているようでいて一致せず、天体図や入浴する女性の挿絵もあります。
つまり、自然科学・医学・占星術が混ざったような内容に見えるのです。
解読の試みと失敗
長年、暗号学者や言語学者が挑戦してきました。
第二次世界大戦中には、連合軍の暗号解読班も分析を行いました。
しかし、いまだに完全な解読には至っていません。
近年はAIによる解析も行われ、「ラテン語やヘブライ語に由来する可能性」や「人工的に作られた暗号言語」などの仮説が浮かびました。
それでも、決定的な答えは出ていないのです。

誰が書いたのか
著者についても諸説あります。錬金術師が秘密の知識を隠したとする説。
あるいは占星術師が儀式用に書いたとする説。
中には、人をだますための精巧な偽書だったという主張もあります。
また、筆跡や染料の分析から15世紀の制作とされますが、背後にいた人物は特定できていません。
謎が残り続ける理由

ボイニッチ手稿の魅力は、未解読のまま残り続けている点にあります。
科学やAIをもってしても突破できない壁があること。
それが人々を惹きつける最大の理由です。
この書物は、知識と想像力の境界に横たわる存在なのかもしれません。
結局のところ、私たちはいまだに「誰が、何のために」書いたのかを知らないのです。
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