1960年代後半、アメリカ西海岸を恐怖に陥れた連続殺人犯がいました。
自らを「ゾディアック」と名乗り、新聞社に挑戦的な暗号文を送りつけた人物です。
事件は数十年にわたり未解決のままです。
暗号は一部解読されたものの、犯人の正体はいまだに謎に包まれています。
ALTERIAは、この未解決事件の真相に迫ります。
連続殺人の始まり

ゾディアックが最初に名乗りを上げたのは1969年。
カリフォルニア州で複数の殺人事件が発生し、新聞社に犯行声明と暗号文が届きました。
その文書には、自らの記号を署名のように描き、「警察には決して捕まらない」と挑発する言葉が並んでいました。
被害者はカップルや一般市民で、犯行には一貫した動機が見えませんでした。
つまり、犯人は「恐怖を社会に広めること」そのものを目的にしていた可能性があるのです。
暗号文の衝撃
ゾディアックは新聞社に4通の暗号文を送りました。
そのうち最初の暗号「Z340」は長らく未解読でしたが、2020年に研究者グループによって解読に成功しました。
そこには「私は天国にいない。死者を恐れるな」といった内容が書かれており、犯人の自己顕示欲と不気味な世界観がうかがえました。
しかし、最も重要な暗号――
「私の正体を明かす」とされたものは依然として解けていません。
つまり事件の核心はいまも封印されているのです。

容疑者と迷宮入り
これまで複数の容疑者が浮上しました。
筆跡や証言、当時の状況から特定された人物もいましたが、いずれも決定的な証拠に欠けていました。
DNA鑑定や指紋解析も行われましたが、犯人を断定できる材料にはなりませんでした。
さらに、ゾディアックを名乗る模倣犯も出現し、事件は混乱を深めました。
つまり警察も研究者も、長年にわたり「迷宮入り」との戦いを続けてきたのです。
残された影

ゾディアック事件は、単なる犯罪を超えた文化的現象になりました。
映画や小説に影響を与え、未解決事件の象徴として語り継がれています。
暗号と殺人が結びついたその物語は、いまも人々を惹きつけます。
犯人の正体が明らかになる日は来るのか――
あるいは彼は永遠に、影の中で笑い続ける存在として残り続けるのでしょうか。
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